2004/11/15号
風評リスクに怯える信金業界!
−全信協、信金も打つ手なし
 各地域金融機関の今、一番の密かな関心事は、何と言っても「ペイオフ全面解禁」である。
 一昨年のペイオフ部分解禁の際は、各金融機関から預金が流れ、「絶対に潰れない」とされた郵便局と東京三菱銀行の二人勝ち≠ニなった。
 地銀や信金は、預金量が多くても、自己資本比率が高くても、多くが「負け組」。
 しかも、預金一千万円以上の大口客だけではなく、数十万円や数百万円の小口客までが恐れ慄き、「とにかく、下ろすと言ったら下ろすんだ!!」と言い張り、金融機関側のペイオフの説明もまるで耳に入らない老人と金融マンの困る姿が散見されたものである。
 当時は次々に金融機関の破綻や再編が起こり、預金者が金融不安に震えていた時期だったため、金融機関個々の努力(経営努力、説明努力)などまったく歯が立たなかったのが現実だった。
 あれから二年が経過――。今回のペイオフ全面解禁は、金融機関の破綻も足銀ぐらいしかなく、金融情勢はすっかり落ち着いている。
「特に信金業界の場合は、信用金庫経営力強化制度により、全信金が自己資本比率六%以上にするわけで、潰れる心配なしでしょう。国の新しい公的資金制度もあり、『ダブル・セーフティネット』が敷かれている。
 合併・再編も、殆ど落ち着きました。
 何より、信金は定期性預金が七割、普通預金が三割。前回の定期性預金のペイオフ解禁の洗礼を受けてもなお定期預金がこれだけの割合残り、今回のペイオフ全面解禁では残り三割の普通預金が洗礼を受けるだけ。信金ではペイオフ解禁は終わったに等しい。問題はむしろ普通預金の割合が大きい銀行の方でしょう。
 どうしても不安という顧客には、決済用預金が九六%の信金で導入される方向なので、これを勧めれば済む話です」(信金業界関係者)。
 制度も、信金の経営内容としても、「万全」の体制ができている。 「ただし、問題は『風評リスク』。これが一番の懸念ですよ…」(某信金役員)。

●フィッチ格付け、花盛り?
●新聞、雑誌の相乗攻撃に悲鳴
●やはり背後にあの大手信金
●フィッチを利用する信金の本音とは



「足利小山信金」がスタート
―県内の金融不安、払拭へ
 足利信金と小山信金は、十一月二十二日、対等合併し、栃木県内で第一位の預金量を誇る足利小山信用金庫(理事長・金子彦四郎氏)として新スタートを切った。



地域金融再編進む
―ようやく地銀、第二地銀で
 ペイオフ全面解禁を半年後に控え、今年八月施行された金融機能強化法に基づき、地銀・第二地銀がようやく合併を決断するようになってきた。
 今回統合の方向となったのは、和歌山県の和歌山銀行(第二地銀)が紀陽銀行と十一月十九日に経営統合に関する覚書きを交わしたのをはじめ、二十二日には関東つくば銀行が茨城銀行と2006年1月をメドに合併することとなった。


信金のリレバン戦略@
創造・開発から製造・流通まで―西武信金、新宿でビジネスフェア
いたばし産業見本市に参加―城北信金、「まちの相談役」PR
 大阪の旧摂津信金が、北摂地域で異業種交流会を一歩進め、信用金庫が仲介者として企業の技術やニーズを的確に判断し積極的に地域の中小企業を活性化させるビジネスマッチングを、東京で最初に開いたのが、西武信金(理事長・貫井志幸氏)。東京・昭島市にあるコンベンションホールで開かれた多摩地区でのビジネスマッチングが広く一般に知られ、地域金融機関の地域貢献・社会貢献として脚光を浴び、地域におけるリレーションシップバンキングの機能強化策として評価されるようになった。不良債権処理以上に地域や地域企業のためにどれだけのことをしているのかが、信用金庫評価の大きなポイントとなったのである。


信金のリレバン戦略A
―諏訪、飯田、アルプス中央、松本、長野、上田信金の事例
 旧都銀など大手行との競合があるものの、ビジネスマッチングや産業見本市などへの出店や、産官学並びに産官学金の交流が活発化してきている東京や大阪など都市圏と比べ、地方の場合は単に個々の企業に融資すれば済むというものではない。信金のある地域の地公体との連携を含め、資金面だけでなく地域再生や地域活性といった金融面以外のバックアップ体制等も必要になってきている。こうした状況について比較的地域に根ざした地域振興策等を行っていると言われる長野県を例に見ていく。


仮決算、計数<Aップに全力
―ペイオフ解禁前最後≠フ開示に備え
〇預金量三兆二千億円へ―京都中央、トップ走る
〇自己資本比率10%超に―尼崎信金


「わかりやすい信金中金」
―信金向けにPR冊子を
 信金中金(理事長・宮本保孝氏)では、このほど、信金中金の役割や業務内容などをわかりやすく解説した小冊子、「信金中金のご案内」を制作し、全国の信金等に配布した。


信金で初めて指の静脈認証を採用
―西武信金・新江古田支店移転







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